墓を維持することは、寺離れが進んだ現在では、骨の折れることだと感じている人も多いでしょう。宗教にもあまり関心がなければ、檀家になることに対しても現実的な感覚を持てないのではないでしょうか。昔よく耳にした、「跡継ぎがいない、嫁ぎ先の墓に入りたくない、単身者なので墓を購入できない」といった悩みは、それなりに残っているのでしょうが、軽くなってきたような気がします。
このような世の中だからこそ、発生した悩みとして、「死後に子供や子孫に迷惑をかけたくない」というものがあり、生前に何とかしておきたい人が増えているようです。お墓に対する意識が、先祖の方向ではなく、今を生きている子供の方向を向いているのです。先祖は2、3代くらいしか意識していないのですね。
それはともかく、実は、この悩みに応えてくれるお墓の形があります。それは、「永代供養墓」というものです。このお墓は、跡継ぎがいなくても、墓のある寺が存続している限りは、ずっと供養を続けてくれるというものになります。
跡継ぎのいない墓は、通常、法律により墓の管理者が簡単な手続きで撤去できるため、無縁墳墓となってしまいます。こうなると当然供養はされなくなる訳ですね。また、お寺には、跡継ぎがいない人や身寄りのない人などを葬るための無縁塔というものもあります。ただし、これは、寺の慈悲で葬ってあげるという性質のもので、永代供養墓とは別ものです。
永代供養墓は、一人ひとりの生き方を尊重して供養を続けるというものです。どんな理由でこの墓に入ってきても、あなたをずっと供養しますという考え方のお墓です。跡継ぎが絶えて一人ぼっちだから慈悲の心で・・・というものではないのです。ちなみに、公営墓地では、名前に宗教色が出ないように配慮して「合葬式墓地」あるいは「合葬墓」という名前を使っているようです。
このように一人で墓に入るけれど、みんなと一緒に供養してもらえるということで、子供たちは、墓をずっと見守り続けなければならないという義務感から開放されます。そんなに面倒なことだろうか?親を思う気持ち、弔う気持ちが薄れるのでは?という心配をされる方も多いと思います。
ですが、逆に義務感から開放されて、親を思う気持ちだけを持ってお墓を参ることができるために、普通の墓よりもお参りが増えているような現象もあるようです。不思議なものですね。
都会に出てきて、親が亡くなったけれど地元の墓にどうしても入りたいという要望があった場合には、このように供養してもらえる墓だと安心かもしれませんね。一人でお墓に入りますから、先祖の宗教や子孫の宗教とは違っても、あまり問題がないため、比較的自由にお寺を選ぶことができるのもメリットの一つでしょう。・・・それにしても、お墓までこんなに自由になっているのですね。手軽なお墓のプランを使っても、故人を思う気持ちだけは大切にしましょうね。